本当に無料で使って良いんでしょうか?〜AutoCAD LT互換アプリ(DraftSight)

PCツール

一時期はAutoDesk社のAutoCAD LTを良く使ったものです。毎日朝から晩まで嫌になるほど使った時期もありました。大きなプロジェクトが入って、CADを使わないと図面の管理が出来ない状況になり、会社が費用を出してくれて数名で3日程講習を受けに行かせて貰えました。同僚3名か4名で短期集中のレッスンを受けたのですが、当時勤めていた会社が支払ってくれたレッスン費用は結構な額だったと思います。

その御蔭もあってAutoCAD LTの基本的な操作は覚えられました。もちろん数日のレッスンなので覚えたのは概念的なもの、機能の説明とそのチュートリアル程度だったので、実業務でどういう手順で図面を描いて、どう修正するかという製図のテクニックは実践で鍛えていくしかありませんでした。

実際、我流で覚えたという先輩の図面の描き方の方が断然効率が良かったりしました。もっともその先輩は学校でドラフターを使って図面を描く授業を受けたといってましたが、やはり昔ながらの製図テクニックは道具がCADに変わっても通用するものです。(横で見せてもらって先輩の製図テクニックを盗みます)

また、後に分かるのですがレッスンではプリントアウト(印刷)について説明がほとんど無かったので、実業務で必要なプリントアウトについては会社の先輩から教わりました。ペーパー空間とモデル空間の概念についてはもちろん説明がありましたが、概念的なところに留まり、実務でプリントアウトの面倒臭さに躓くのはお約束でした。

そういう感じで、実践的な部分は必要になった都度、会社の先輩からテクニックを盗み取ったりして自分流の図面の描き方を養ってきた訳ですが、図面と言ってもジャンルによって色々特徴があるので、図面を描く正しい手順ってのは無いとも言えます。この方が早く描ける、効率良く描ける、楽に描ける。でも俺はこうするのが楽だと思う。CADで描くコツなんてそんな感じでしょう。

AutoDeskのAutoCAD LTは色々なジャンルで使用されている2D(平面図)用のCADアプリケーションです。私の知る範囲では、建築業界でも2D図面はAutoCAD LTの標準フォーマット(dwg)形式か(dxf)形式ですし、電気施工のアルバイトに行った時もAutoCAD LTが標準だと聞きました。建築図面に照明器具の配置や配線ルートなどを描いていくのもAutoCAD LTでした。

後に知りましたが、建設業界では.sxfや.p21という拡張子の形式が標準らしいです。また電気関係はJw_cad(フリーウェア)による.jwwも良く使われるそうです。Jw_cadは操作性がかなり特殊だと感じますが慣れると効率が良いのだとか。業種によってCADって色々バリエーションがあって標準が違うみたいですね。

という訳で、私が使い慣れているAutoCAD LTですが、泣き所は高価なところです。2D版のLTでも個人で気楽に購入出来る金額ではありません。よってJw_cad等の無償で使用出来るCADを使っている人も結構いらっしゃる訳ですが、AutoCADに慣れた自分にとって、また新たな操作を覚えるのはかなりの苦痛です。

Jw_cadはこれはこれで便利な機能があるので描く図面によってはAutoCADとか不便すぎるって位に工夫されている部分も多々あります。

AutoCAD LT程の高機能は要らないけど、基本機能と操作性はAutoCAD LTに準拠している安価なCADアプリって無いのかな?そう思って調べてみたところ、3D CAD のCATIA、SolidWorksで有名なダッソー・システムズの「DraftSight」という2D CADアプリがなんと無償で利用させていただける事を知りました。実際使ってみたら操作性はかなりAutoCAD LTと共通していますので違和感はほとんどありません。

DWG ファイル用の無償CADソフトウエア*: DraftSight – ダッソー・システムズ

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ダッソー・システムズ知らない?

AutoCAD LTしか知らない人なら、そんな訳分からんメーカーの使って大丈夫か?って言う意見も出そうなのでフォローしておくと、3D CAD業界では、CATIAやSolidWorksは定番中の定番の設計ツールです。

個人的にCATIAはIBMのRS/6000+AIX環境で動くものを見せてもらって、少しだけ触ったことがあります。要するにUNIXワークステーションで動くCADアプリですからプロ用です。昔の話ですが恐ろしいほど贅沢なグラフィックカードが実装されていて、グリグリ動く3D CADに圧倒された記憶があります。個人ではとても買える代物ではありません。

CATIAは自動車の設計などに使用される3DCADで強度計算のシミュレートが出来るとか、高機能すぎて異次元です。これはかりに自分で購入したとしても独学では無理だとすぐに直感しました(苦笑

ダッソーが持つノウハウはDRAFTSIGHTにも

当然ながらそういうプロ向けのCADを開発しているノウハウはパブリックベータ版の「DraftSight」にも降りてきていると思われます。更に「DraftSight」はWindowsだけでなくMac、Linux版が使えるマルチプラットフォームです。と言うわけでデスクトップ環境をLinuxに完全移行出来ない理由の一つ、CADアプリの問題もこれで解決しそうです。

DRAFTSIGHTは言うなれば、個人で買うには高価なAutoCAD LTでさえ逆におもちゃに思える位の高性能なCAD製品を世に送り出しているCADメーカーのプロモーション版と言っても良いでしょう。使い慣れて気に入ったユーザーがステップアップして有償版を購入してくれる入り口に位置づけていると思います。

そういうレベルのメーカーにとっては、他社(AutoDesk)の製品であるAutoCAD LTのdwg形式が編集出来る位の事は大した問題じゃないのかも知れません。(dwgはAutodesk社のAutoCAD LT独自フォーマットらしいので互換機能という呼び方になるのでしょう)

検証環境について

私のPCは、ASUS P7P55D-Eというマザーボードに、CPUはCore i7-870sという第一世代のCore i7ですが、メモリーは16GB実装していて、Windows 7 64bit環境なので8スレッドのCPUが余裕の処理をしてくれます。

ちなみに現在使用しているPCのグラフィックカードはNVIDIA GeForce 210なので描画に関しては全然拘っていません。DRAFTSIGHTはOpenGL対応なのでより複雑な図面を描く場合は、ローエンドでも良いのでOpenGL対応のQuadroが実装されたグラフィックカードを組み合わせるとより快適に動作すると思います。

このPC上でAutoCAD LTを動かした事が無いので正確な比較は出来ないのは重々承知ですが、「DraftSight」は実に軽快に動いてくれてびっくりするほど快適に図面を描くことができました。

比較用に、Core2Duoのノートに「DraftSight」をインストールしてみてどれくらい使えるか検証してみましたが個人的な問題ありません。2コア対4コアxハイパースレッディングの比較は話にならない気もしますが、Core2Duoのノートで問題なく使えるなら「DraftSight」はアリだと言えるでしょう。

古いノートPCにUbuntuをインストールたLinux環境でも使ってみたのですが普通に使えますね。これで個人用として十分に使える事が確認出来たので、無理して余計な機能がてんこ盛りなAutoCAD LTを買わなくて良いという結論に至りました。どうしても仕事でAutoCAD LTが必要になればその時に考えます。

Debian6 DreftSight

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