光学メディアへの書き込み失敗の無駄を無くす〜仮想光学ドライブ(Phantom Burner)

FUJITSU FMV BIBLO S/D50ノートPCのメンテナンスを行なっています。この機種はWindows Vistaモデルですが、リカバリーディスクが付属していません。HDDからリカバリー出来る仕組みになっているのですが、HDDがクラッシュしたPCの修復を行なっているのでリカバリーは不可能です。とどめにHDDは認識されないのでリカバリー領域にもアクセス不可能です。

FUJITSUは一応リカバリーディスクを作成する方法をユーザーに用意してくれています。DVD-Rメディアを5枚用意すれば、リカバリーディスクを作成することが出来るのです。しかしリカバリーディスクを作成していない状態でHDDがクラッシュした訳ですからどうしようもありません。

PCを買ったらすぐにリカバリーディスクを作っておきましょう!

ここで通常はFUJITSUに修理依頼することになるんでしょうが、きょうびの低価格化から修理料金を考えると買い換えた方が良いって事になる訳です。しかしVistaモデルとは言ってもCPUはCore2Duoですし、メモリーは4GB実装しているので、まだしばらくは使えるハードウェアだと思うので買い替えは惜しいです。OSをVistaからWindows7(Windows8にするのもアリでしょう)にすれば快適になるでしょう。

幸いFUJITSUもこの機種のOSをVistaからWindows7へアップグレードする道筋を残してくれていた様です。購入時のVistaの状態から7へアップグレードする方法のみですが(クリーンインストールの場合はドライバやユーティリティが使えなくなります)道筋が見えるだけありがたいことです。

さて、私はこの修理にニコイチ作戦に出ることにしました。ディスプレイ割れで外付けディスプレイなら動作確認出来たものをヤフオクでジャンク購入しました。その生きているHDDからリカバリーディスクを作成するという方法です。液晶割れ位ならパーツが有れば簡単に交換出来ますからね。(後の課題にしとこう)

そういう訳で、リカバリーディスクを作成しようとしてみたのですが、なんと課題が発生。ディスク2枚目、3枚目でどうしてもエラーが出てしまいます。リカバリーディスク作成アプリが光学メディアへの焼付けしかサポートしていないのでどうしようもありません。

エラーが出るのは光学ドライブの不具合も考えられますが、Vista環境ってのが一番あやしいというか信用出来ないのでメディアに書き出すのでは無く、ファイルに書き出す方法を取ることにしました。5枚もエラーナシで焼くのは、出来の悪いVistaくんには無理でしょう(笑

出番となるのは、「Phantom Burner」

Phantom Burner

Phantom Burner

日本語でこのアプリを訳せば「書き込み可能な仮想光学メディア・ドライブ」って感じですかね。近い動作をするアプリならDaemonToolsを思い浮かべる人も多いと思いますが求めている要件が違います。DaemonToolsは仮想メディアへの書き込みは出来ませんが、仮想メディアへのPhantom Burnerは書き込みが出来ます。言い換えるとCD-RやDVD-Rへの書き込みが出来る状態だとOS(Windows)を騙すことが出来るアプリです。

DaemonToolsは.isoファイルなどを仮想光学ドライブにマウントしてWindowsから「仮想CDや仮想DVD」を開ける様にする仕様ですが、Phantom Burnerは仮想光学ドライブに更にCD-R、DVD-Rという仮想の光学メディア(実態はファイル)をマウントして、アプリケーションに対して、あたかも光学メディアへ本当にライティングしている様に振る舞います。

Phantom Burnerで新規に仮想メディアを作成すると、WindowsはブランクCD-RやDVD-Rが挿入されたかの様に騙されてしまい、ブランクメディアへの書き込みのダイアログが表示されます。

具体的には下図の様にしてPhantom Burner用のVDDファイルのタイプと保存場所を指定します。よって物理的な光学メディア(CD-R、DVD-R)は使いません。

Phantom Burner Media Save

Phantom Burner Media Save

現時点、非常に稀有なアプリであり、Windows上に新たな光学ドライブを仮想的に作り出し、メディアを仮想的にファイルへ書き込むことができるのは画期的です。恐らくコレに類するアプリケーションは今のところ無いと思います。

# 2013/02/03追記
全くと言って良い程無かった日本語のPhantom Burnerの情報が増えて来ました。
どうやらi-Tuneユーザーがお試し版で1曲ずつDRM解除に使っているアイディアを紹介しているみたいです。同種のアプリケーションとして、Phantom Burner以外にもKernSafe TotalMounterというフリーウェアがあるらしいです。

Phantom Burnerの価格はUS$29.95なので、個人でも手が出せない価格ではありません。こういう希少なアプリを開発してくれている感謝の意味と、1$=82円という円高の恩恵にあずかっても良いかなと購入してみました。購入と言ってもダウンロード販売なので、クレジットカードやPaypal決済で代金を支払い、ライセンスキーをメールで送ってもらうだけです。ライセンスキーを入力すると制限が解除されて、仮想メディアの容量が700MB/4.7GBで保存可能となりました。

「Phantom Burner」のファイルの拡張子は.vddですが、.isoへの変換機能も実装しているのでisoが目的ならばそこまで自動化させることも出来ます。実に楽ちんです。

まだマイナーなアプリ故、日本語化パッチは存在しない様ですが、非常にシンプルなUIしかありませんので英和辞書さえ有れば使い方は理解できると思います。この手のアプリを欲する人なら(私含めて)カタコトの英語位は「読んで理解した気になれる」でしょう(w

なお、補足しておくと、Phantom Burnerに.vddファイルをマウントさせる事も出来ますので、ライティングソフトを騙してファイルに書き出した(焼き付けた)後、.vddファイルをマウントして中身を確認することも出来ます。言い換えると.vddファイルをHDDに保存しておけば、CD-RやDVD-Rのメディアは不要って事になります。

個人的には良く出来ている&希少なアプリなので、こういうアプリを欲している方は是非とも購入してこの開発元が継続して販売を続けてくれる事を願っています。もしくは競合他社も参入してより良いアプリを開発してくれると最高なんですけどね。ニーズはあると思うんですよね。

追記

「DVD-RW DLに対応しているか?」という問い合わせをいただいたのでメールで返信をしたのですが、メールアドレスを間違えたかデタラメなメールアドレスだったのか・・メールデリバリーエラーで返信が届かない状態なので追記しておきます。

Phantom Burnerも開発元が停止してしまった様で、サイトにアクセスしても情報が得られなくなりましたので自分にとっての備忘録がてら追記です。私は現在も Windows 7 64bit環境で使用していますが問題無く動作していると思います。(言うまでもなく私は何の保証も出来ませんが)

作成できるメディアの種類

Phentom Burner Create Image

画像をみていただくと分かる通り4種類作成できます。

  1. CD-R
  2. DVD+RW
  3. DVD-RAM
  4. BD-RE

DVD+Rというのが時代を感じさせます。この頃はDVD-RとDVD+Rのどちらが市場を握るかという頃だった気がします。私はリコーのDVD+Rドライブを買ったのですが、結局DVD-Rの方がシェアを握ってしまい、+Rメディアは入手難となりドライブを買い換えた苦い記憶があります。

仮想CD-Rメディアを作成した場合

phantom002

ImgBurnでPhantom Burnerで作成した仮想CD-Rメディアにアクセスした時の認識状態です。Free Spaceとして約700MBを認識していることが分かります。

仮想DVD+Rメディアを作成した場合

phantom003

ImgBurnでPhantom Burnerで作成した仮想DVD+RWメディアにアクセスした時の認識状態です。Free Spaceとして約4.7GBを認識していることが分かります。

仮想DVD-RAMメディアを作成した場合

phantom004

ImgBurnでPhantom Burnerで作成した仮想DVD-RAMメディアにアクセスした時の認識状態です。正直なところDVD-RAMは使ったことが無いので詳細は不明ですが、ここでの仮想DVD-RAMメディアは4GB程度の容量がある様です。

仮想BD-REメディアを作成した場合

phantom005

ImgBurnでPhantom Burnerで作成した仮想BD-REメディアにアクセスした時の認識状態です。詳しい事までは調べていませんが、ここでの仮想BD-REメディアは25GB程度の容量がある様です。

後書き

Phantom Burnerが長く販売されていれば、最新のメディアに対応した仮想メディアのサポートが実現した可能性は高いと思いますが、終息してしまった様なので残念ながらこれ以上のことは実現出来そうにありません。

私自身正規ユーザー(購入した)ですが、後のバージョンアップを追いかけていなかったので、バージョンアップで新しいメディアに対応させたバージョンがリリースされていたのかも知れません。今となっては情報が公開されていないので新しいバージョンの実行ファイル(インストーラ)を入手することも出来ません。希少なアプリだっただけに終息したことは残念です。

メディアもドライブも安くなりましたので、仮想化するメリットは無いということでしょうか。残念ですがそういう流れの様です。個人的にはBlu-rayの必要性に迫られる場面には遭遇していないのですが、今の時代にDVDドライブを購入するのであればBDドライブを購入してDVDは互換機能で使用する方が賢いのでしょうかね・・時代の流れを感じます。

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