「じゃあいつ移行すればいいの?」「今すぐです」

windows_xp最近、ようやくMicrosoftがWindows XPのサポート終了を積極的にアナウンスする様になってきました。

「じゃあいつ移行すればいいの?」「今すぐです」――日本マイクロソフト、Windows XPからの移行呼びかけ- 最新ニュース|MSN トピックス

私はWindows NT Server 4.0がサポート終了になる時にこれと似たイベントを経験しました。今回のXPとの大きな違いは、NTの場合は「サーバーOS」なので、たとえサーバーがそれ1台でも、その配下で稼働しているクライアントPCが100台あれば100台に影響を与えるし、ドメイン構成によっては複数のサーバーが信頼関係によって連携していたりすると単一ドメインでは済まず広範囲に影響を与えるものでした。

また、NTドメインと、Windows 2000 ServerのActiveDirectoryの概念の違いから、ADへの移行に伴ういくつかの課題をクリアする事が重要となり、「NTマイグレーション」という言葉が当時流行語の様に語られたものです。企業の多くはこのNTマイグレーションに追われた訳です。

今回のXPのサポート終了も、NTのサポート終了も似たような騒動ですが、本質的な部分でかなり違いがあります。共通点は同じMicrosoft社のWindows製品だということ位です。

XPのサポート終了に伴い、普通に考えればOSをWindows7もしくはWindows8にアップグレードする事になります。しかし多くの場合はハードウェアがスペック的に厳しいという現実をつきつけられます。よってPC本体も更新というケースが大半を占めるでしょう。更にOffice製品も恐らくMicrosoft Office 2003辺りを使っていると思うのでこれもサポート終了でバージョンアップを検討せざるを得ません。

ここまでを考慮すると、新しくPCを買い換えた方がトータルで安いし処理速度の低下なども防げると言う結論にたどり着きます。日本市場の場合はOffice製品をバンドルして販売しているPCの方がOffice製品単体で購入するよりも割安なのでOffice込みで購入という事になるでしょう。


今回のWindows XPについて考えてみると、NTの時とは大きく違うのは、Windows Serverを使っている企業だけでなく、PC1台だけで使用しているユーザーも含まれることです。つまりこのXP騒動の影響範囲は限りなく広く、また対処方法すら分からないユーザーが大半だったりします。恐らくその大半はこのXP騒動が過ぎ去っても不調を抱えたWindows XP環境を使い続ける事だろうと思います。(Windows 98や、Windows MEでも見かけました)

今XP騒動でざわめいている人達は、ほぼ間違いなく企業やそれなりの組織で使用している、複数台のPC環境を持っているケースになります。つまりXPのサポートが終了することの意味を少なくとも情報としてキャッチできている人達です。

一方で、ITエンジニアやPCについて詳しいスタッフが所在しない企業、PCにあまり興味の無い個人ユーザーは置いてけぼりです。そういう層の人達はこのXP騒動が始まった事すら知らないかも知れません。そういう層の人達はXPのサポートが切れてもそのまま使い続けるのは間違いありません。よって、大半の企業がしかるべき処置をしてこのXP騒動を乗り越えたとしても、ネット上に脆弱性(ぜいじゃくせい)を持ったWindows XP PCが存在し続けることになります。これは実は結構なリスクです。

# 運良くXPサポート終了後早々にPCが故障してくれた方が諦めも付いて、リスクからも開放されて、その人にとってはラッキーかも知れません(苦笑

Windows98がサポート切れになった時、「別に個人情報は入れてないからウィルスに感染しても大丈夫」という知人がいました。踏み台にされる等という知識が無いのでそういう誤った判断をしていたのでしょうが、最近の記憶で新しい「遠隔操作ウィルス」の被害にあう事を想像するとそのリスクが容易に分かると思います。自分が被害者でありながら加害者になるリスクを持つ事になるのです。それがサポートの切れたWIndows XPをネットに接続して使用するリスクです。

もしネットワーク犯罪の踏み台にされたら、警察はネットワークの通信ログから痕跡を辿って家宅捜査を行います。全く身に覚えのない事で警察が家に来てPC等を押収して行きます。個人宅でもPCを押収して調査されたら迷惑なものです。世間体もありますし、社会的信用にも影響します。それを中小企業がやられたらどれだけの被害があるでしょう。業務にも直接影響するのは間違いありません。

たかがパソコンでしょ?と言って済ませられる程甘くはありません。なにしろ海外ではネットワーク犯罪者を育成する活動も行われているのです。子供達にそういう教育をしている国もあるのです。そういう教育を受けた子どもたちは悪気もなく、ゲーム感覚で犯罪を犯すのです。日本の常識やモラルは世界では通用しません。そこ(インターネット)に国境というガードはありません。ターゲットにされればひとたまりもなく世界中から集中的な攻撃を受ける事になるのが想像出来ます。自分のPCでも、脆弱性のあるPCをネットに接続すれば自分だけのPCでは無くなってしまうのです。

繰り返しになりますが、PCの更新はさておき、Windows7、Windows8へのアップグレード、さらにMS-Officeのバージョンアップ。それ以外の非対応アプリケーションのバージョンアッププラスアルファの必要経費となります。本来、これらの経費はPCをネットに接続する為の保険代みたいなものだと考えるべきなのです。身を守るのは自分自身しかありません。ハイテク犯罪と類する犯罪が増える一方ですから、警察ももちろんこの騒動には注目しています。

この記事を読んで下さって、自分が使っているPCの事を把握出来ていない方は、まずは所有しているネットワークPCの機種やWindowsのバージョンの情報を把握しましょう。Windows XP(それよりも旧いPCも当然です)を使っているのであれば、今のうちに対策を考えるべきです。そして知識を持っている人に相談するべきでしょう。そうすれば代替手段がある事も知ることが出来ますし、用途によってはWindows7や8とは違う選択肢を選んで経費を抑えることも不可能ではなかったりします。

とにかく、他人ごとでは無く自分を犯罪に巻き込まれる事から守るためにも行動を起こすべきです。これは一人一人が自覚して取り組むべき、「ネチケット(死語?)」の一つですね。

お問い合わせ

コメント

タイトルとURLをコピーしました