事業のクラウド化に伴うシステム開発やサーバー費用の妥当性を検討した。前職の積算経験を活かし、複数業者の見積もりを同一項目で比較して異常値を排除する手法を助言している。固定費に加え、不透明になりがちな開発費や保守運用のコストを客観的に評価することの重要性を説いている。
初期投資と固定費を回収し、利益に転じるまでの損益シミュレーションの必要性を強調した。売上見込みから損益分岐点を把握することは、事業継続の判断や決裁者への説明に不可欠である。数値に基づいた管理で事業の健全性を確保するよう提案し、計算用の簡易テンプレートも公開している。
事業のクラウド化に際してのサーバー代について相談を受けた
先日、職場で他部署の人から相談を受けました。現在紙ベースでやっている事業をクラウド化してオンライン化する案がでているらしく、クラウド化に際してのWebアプリ費用、レンタルサーバー代、保守費用などの見積もりを入手したけど、それらの金額の妥当性が分からないということでした。
内線電話でざっくり話を聞いたのですが、レンタルサーバーにも様々なプランがあるしその選定にはサーバー負荷を見込んだ処理能力を確保しておく必要があるので、安ければ良いというものではないと説明をし、レンタルサーバー事業社名とプラン名を聞きました。そしてちゃっちゃと検索して調べたところその見積もり金額はレンタルサーバー事業者がサービスを提供している金額と同じであることが分かりました。
そんな感じで話を聞いたのですが、内線電話では細部が分からないので実際に顔を突き合わせて話をきいたところ、ネックはWebアプリケーションの開発費(初期導入費)と保守費用が見えない部分でした。
相見積もりを取っていた様で比較させてもらったのですが、固定費(レンタルサーバー代、SSL証明書代(ドメイン利用料)など)は簡単に裏が取れるものの、それぞれの業者からの見積もりフォーマットが違っているので読み替えるなりして比較する必要があります。見積もり内容をなるだけ同じ項目にして比較出来る表を作ったほうが良いですよとアドバイスしました。
前職の経験からアドバイスできた
前職では事業案件に関する標準価格を算出するための積算作業をしていたこともあり、見積もりの比較資料は必ず突き合わせて比較出来るようにしていました。必ず3社以上の見積もりを取得し平均価格を算出し、平均価格から一定の率以上乖離している場合は異常値として弾いていました。安すぎても高すぎてもダメなのです。
そうして得られた価格を元に市場の相場価格(標準価格)を根拠を元に算出して、それらをちまちまと集めて積算していくという気が遠くなるような作業をしていました。専門外の仕事を半年の約束でやらされたのに結局約5年ズルズルと続けさせられて、会社への信頼感は完全に無くなって年度いっぱい務めて退職(転職)しましたが、5年間に経験したことは無駄にはなっておらず、むしろ専門外のそういう知識と経験が身についていました。1年や2年位じゃ身につかなかったでしょうが嫌々ながら5年務めたことでそれなりに血肉になっていたんだなと自覚できました。
こういうのは言葉で説明するのは難しいのですが、結局はそういう手法を知っているか?という知識と経験の蓄積の有無で違ってくると思います。新しいことを覚えるのは大変ですがそれをある程度身につけて置けばきっとどこかで活きてくるということを再認識したのです。
単純に採算はとれるのか?
一通り話を聞いて一番最初に疑問に思ったのは、採算が取れるのか?ということでした。初期費ではWebアプリの費用やレンタルサーバーの使用開始に関わる経費がかかります。これらは数百万円と結構大きな金額です。
それに加えて毎月の固定費がかかります。レンタルサーバー代を月々支払うとしても年払いするにしても維持していくために経費がかかります。サービス利用料を支払ってもらうとしても丸々が収入にはなりません。例えば初回利用者の利用登録に関わる処理などには郵送料なんかもかかるかも知れません。
そして一ヶ月にどれだけの利用が見込めるのか(売上の見込み)、年間でどれくらいの売上が見込めるのか?などのシミュレーションを簡単にでも行っておく必要があると直感的に感じました。そしてそのことについて尋ねると、「年間◯◯件の利用が現在あるので大丈夫です」というざっくりとした回答でした。担当外なのであまり突っ込んだことは聞きにくかったのですが、初期費用と固定費は必ず出ていくお金なので、それを回収して利益に転じるのにどれくらいかかるかは算出して提示しないと決裁権を持つ役職の人には理解して貰えないんじゃないかな?という説明をしました。
損益の分岐点(期間)をざっくり計算する
私は経営とかの経験は無いですが(数年間貯蓄で生活しながら補う程度の個人事業活動はやりましたが)、それでも簡単に想像するだけで初期投資を回収して利益に転じるのにどれくらいの期間かかるかは算出しておかないとダメだと分かります。
多分この程度は基本中の基本だと思うのですが、相談してきた担当者にはその経験が無いらしくまたそういう観点で事業計画を立てていくという想像ができてないみたいでした。そもそも損益が転じる期間をシミュレーションして、毎月の売上目標を立てておかないと順調に事業が進んでいるのか?赤字のまま続いているのか?が判断できません。初期の段階でシミュレーションしておくことはとても大事だと思います。
ざっくりと作成してみました。
LibreOfficeのスプレッドシート(.ods)で作成したのでアップして置きます。お約束ですが何ら責任は持てませんので、参考にする程度にして自分で納得行く様に改修するなどして使って下さい。
これをベースにアレンジしてもっと項目を増やしていけばより正確なシミュレーションとプレゼン資料の元になると思います。まずはざっくりと簡単なシミュレーションをしてみることをオススメします。
事業が開始した後は細密なシミュレーションが必要
ここから先は事業が開始した後の話になると思います。事前シミュレーションをベースに実績値を入力して行き、月々のブレを加味したシミュレーションが必要になります。必ず損益点(期間)のブレ補正を明確にするために毎月チェックしシミュレーションし直していく必要はあります。
予定より売上が少なかった場合は対策を打たないと赤字が膨らんでいき事業を行う意味がありません。早期に見切りをつけて事業をやめるざるを得なく場合もあるでしょう。極論を言えば初期投資+固定費の回収にかかる期間がとんでもない期間になってしまったり、どんどん赤字が膨らみ続ける事になってしまいます。
こういう話は私の専門外であって、事業プランナーとか事業コンサルとかの専門分野だと思います。そういうジャンルの人達にとっては定石の管理や分析のしかたがあって、相応の標準ツールを持っているものと推測します。
まずはざっくりと「初期費」「固定費」「売上見込み」を入力して、利益に転じるまでの期間をシミュレーションしてみるところから初めてみてはいかがでしょうか。どんぶり勘定の事業は上手く行った試しが有りません。必ずイレギュラー(想定外)が起こるからです。


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