今頃Fedora Core 5書籍を買ってみて分かったこと

PC・Server

Linux系のOSを勉強したいという知人の相談を受けて、色々ヒアリングしたりした結果、仮想環境(VMWareとかVertual Boxとか)を使う以前に、リアルなハードウェア(パソコン)で学習しておいた方が良いと強く感じたので、中古パソコンを一台購入して、失敗しても大丈夫な環境で色々やってみることを勧めた。

Windows 8のノートパソコンを1台持っているだけなので、Windowsファイル共有なんかの知識も身に付けてない。どうせならWindows XPででも動かせる様にして、LANで出来る事を色々学習した方が良いとも思った。(もちろん、VM環境でも学習は出来るが現実のハードウェアでの体験が無い人には仮想化したツールを現実に置き換えるのが難しいらしい。)

デスクトップパソコンを持っている人なら、ディスプレイとキーボード、マウスなんかは一時的に使い回せば良いので、デスクトップ機本体を中古で買えばかなり格安で学習環境を手に入られるのだが、ノートパソコンしか所有して無いので二台目もノートパソコンの中古という選択肢になった。当然スペックは下げざるを得ない。

今回タイミング良く、知人からのオークション出品依頼品が回ってきたので、価格的にも双方バッチリな具合で橋渡しが出来た。古いパソコンを処分したい人と、学習用に中古パソコンが欲しい人との間に立てたのはお役にたてたかなと思っている。(今回の件は仕事とは考えてないので仲介料はいただいてない。)

さて、そこで課題となるのは、中古ノートパソコンで動かすLinux系OSのセレクトである。知人は将来的にはVPSを借りる等してWebサービスを立ちあげたいと考えているので、情報の多いCentOSを使いたいと考えているそうだ。しかし現行のCentOSはISOファイルをダウンロードして来ても、少ないメモリーのPCではインストーラーが簡易インストーラーになってしまい、グラフィカルインストーラーを使用できない。

もちろん、UNIX系OSのインストールを行った事が有る人なら、簡易インストーラーで十分事足りるのは言うまでもないが、ビギナーにとってはインストーラーに何を問いかけられているかを理解するのは重要であり、それを体験として学習していくのはステップとして必須だと私は考えている。つまりグラフィカルインストーラーでインストールという手順を実体験して自分なりに消化しておく事は先に進む上で重要な体験だろうと知人に説明した。

結局、CentOSを使いたいという事なので、同じRedhat系のコンシューマ寄りなFedora Coreを使う方法がベターだと私は判断して、Fedora Core 5辺りのCD/DVD付き書籍を市立図書館等で借りてきてお勉強してみる事を提案した。運が良ければブックオフ等でも105円で手に入る(実際、私は検証用にCD-ROMが5枚付属する書籍を105円で買ってきた)

もちろん、理研などのサーバーからFedora Coreの旧バージョンは入手可能なので、光学メディアへ焼き付ける手間と費用を惜しまなければISOファイルをダウンロードしても良いだろう。DVD版ならUSBメモリーからBOOTする様にすればメディア代も節約出来る。

CentOSは5系が長かったので、5系のインストールメディア付き書籍が手に入るならそれを使うのもアリだと思う。恐らくFedora Coreの書籍より流通が少ないので入手は難しいと思うが。

さて、実際に入手したFedora Core 5のインストールメディアを使ってVMWare上で検証してみたところ、メモリーが512MBあればグラフィカルインストーラーを使用できる事が確認出来た。これでインストールという儀式の体験が出来るだろうし、図書館で借りてきた書籍を読みながら理解を深められるだろう。残念ながら現行バージョンはメモリー実装量が少ないと簡易インストーラでインストールさせられるので、インストールの体験学習としては、やはり旧バージョンを使うしか無さそうだ。

問題はインストール後の話だ。Fedora Core も CentOSもyumというコマンドで、リポジトリから最新のパッケージをインストールしたりアップデートしたり出来るが、旧バージョンのリポジトリは既に閉鎖されているのでCD/DVDに収録されている古いパッケージをインストールする所までに制限されてしまう。

更に付け加えておけば、CD-ROM版は複数枚数のメディアに分割されているので、自前でFTPサーバーを立てるか、ハードディスクにCOPYしてリポジトリを構成してやる必要がある。もちろんyumの参照先も設定を書き換えてやらなくてはならない。学習環境の整備の難易度から考えるとDVD版の方が断然容易だろう。(FTPサーバーの構成やリポジトリ参照先の変更そのものが学習の課題に含まれるからだ)

Fedora Coreを解説する書籍の多くは、PC-UNIXの基礎知識に加えて、応用的にDNSサーバーの構成や、Webサーバーの構成を取り上げていると思う。個人的にはこの手の入門書にDNSやDHCP、PROXY、ルーターの構成を課題とするのはいささか無理が有る様に思えるが、もはや通例となっているらしいので仕方が無さそうだ。

個人的にはとりあえずSSHサーバーのセットアップ、Webサーバー構成課題をやっておけば、入門書の役目は終わりだと思っているので、知人には通らなくて良い道(課題)は無視する様にアドバイスしようと思う。(図書館で借りてきた書籍の見出し位の情報は必要だが)

ちなみに私が105円で購入してきた書籍には、
【イントラネット編】としてDHCPサーバー、sambaサーバー(swat)、
【インターネット編】としてDNSサーバー、メールサーバー、Webサーバー、FTPサーバー、プロキシサーバー、NATルーターとページ数はさほど多く無い割には盛りだくさんである。

この内容で更にインターネットに公開となっているのでそこまで詰め込むか?と、自分が通ってきた道ではあるが、それをビギナーに一気に課題として提示する書籍の構成を冷めた目で見る自分がいることに気づいたりする。

まずLinuxというPC-UNIX系OSの概念を理解するのは必須だろう。そしてSSHやSCPで接続して遠隔操作出来る様にするのが次のステップだと思う。その後にWebサーバーの構成を学習してSCPでWebコンテンツを更新する事まで出来れば十分では無いだろうか。これでいわゆるホームページの運用管理が体験出来た事になる。

不要と思える課題としては、DHCPサーバーは多くの場合ルーターに実装されているから実用面で不要だろうし、DNSサーバーを学習するには段階的に早いと思う。メールサーバーの構築はDNSの知識が必須となるので更に後になるだろう。

内容を絞り込んだ入門書とインストールメディアがあれば、ビギナーはもっとハードルの低い課題だけで十分体験学習が出来ると思うのだが、なぜここまで詰め込むのかな?という疑問は自分が体験してきた経験から客観的にそう思う。なぜならそれぞれの課題一つずつがもっともっと奥が深いものだから入門書で取り上げる課題では無いと思うからだ。

いずれにしても、今になってこうやって2006年頃の入門書を手にしてみると、私がPC-UNIXビギナーだった2000年頃に比べるとかなり親切で、たった6年で情報に埋もれる程までに環境が整うとは当時の流れが早かったんだなと感じる。2000年頃は少ない情報から使える情報を探す事に必死だったと記憶している。ビギナー向けの書籍も非常に少なかった(Redhat LinuxやVine Linuxが主流だったかな)。

今、こうしてビギナー向け書籍を手にしてみて、詰め込み過ぎない入門書が必要とされているのかも知れないなと感じた。なぜならインターネット上にはあふれる程の情報が氾濫していて、書籍を買う必要は無いとも言える。しかし多すぎる情報から必要な情報を見つけ出すのはスキルが要求される。つまりビギナーには厳しい。恵まれている様で実はそうでも無いのかも知れないなと感じた。

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